大腸ポリープ
症状
ポリープのサイズが小さいうちは、自覚症状がほとんどありません。サイズが大きくなって便の通過を妨げることで血便や便秘・下痢、腹痛などの症状を起こすことがあります。ただし、できた場所によっては、サイズが大きくなってもはっきりとした自覚症状を起こさず、がん化して進行し、転移した先で症状を起こしてはじめて発見されることもあります。
便潜血検査は目に見えないほど微量の血液が便に含まれていないかを調べる検査です。大腸ポリープや大腸がんが硬い便の通過で傷ついて出血陽性すると検査で陽性になる場合もありますが、出血が起こらなければポリープがあっても検査は陰性になります。また、他に大腸疾患や痔などによって便潜血陽性になっている場合もあります。こうしたことから、症状の有無や便潜血検査の結果にかかわらず、リスクに合わせて大腸カメラ検査を受けることが大腸がんの早期発見には不可欠です。
大腸カメラは微小な大腸ポリープや早期大腸がんの発見が可能な唯一の検査
早期発見・早期治療により将来のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を守ります
大腸がんは、がんによる死亡率が増え続けています。また、進行した状態で発見されることが多く、命は助かっても生活に大きな支障を生じる大変な治療が必要になる場合も珍しくありません。
ただし、大腸がんは早期発見できればほとんどが完治できます。さらに、前がん病変の大腸ポリープを切除することで大腸がんの予防につながります。早期大腸がんや前がん病変の大腸ポリープは自覚症状がないことが多いため、発症リスクが上昇しはじめる年齢になったら自覚症状がなくても大腸カメラ検査を受けることをお勧めしています。
大腸がん発症のリスクは加齢と共に上昇し、前がん病変の大腸ポリープのリスクが上昇しはじめるのは40歳を超えた頃とされています。効果的な予防や早期発見のために40歳を超えたら症状がなくても大腸カメラ検査を受け、将来のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を守りましょう。
大腸ポリープ切除の特徴
大腸カメラ検査では粘膜を直接観察でき、それに加えて発見した病変をその場で切除できるという他の検査にはない大きな特徴があります。また、切除したポリープは病理検査を行うことで確定診断が可能です。
検査時の切除が可能になることで、別の日に改めてスケジュールをつくり、再度食事制限や下剤の服用を行う必要もありませんので、お忙しい方の負担軽減にもつながります。
前がん病変のポリープ切除は将来の大腸がん予防につながり、1日で検査・治療・予防が完了します。さらに、切除は検査中に行われる日帰り手術で切除自体は10分程度で終了し、入院の必要もなくそのままお帰りいただけます。ただし、切除から1週間程度は日常生活にある程度制限が必要になります。
ポリープの数、サイズ、形状などにより、入院による手術が必要と判断された場合、連携している高度医療機関をご紹介しています。
大腸ポリープ切除の手法
ポリペクトミー
コールドポリペクトミー
ポリペクトミーと同様にスネアをかけ、高周波電流を流さずに締めつける力で切除する手法です。熱が伝わることなく安全に切除できるため、当院ではこのコールドポリペクトミーを主に用いています。切除時の出血には、止血クリップによる処置で対応しています。
内視鏡的粘膜切除術
全周切開内視鏡的粘膜切除術
平坦で20mm程度と比較的サイズが大きいポリープの切除に適した手法です。生理食塩水でポリープを持ち上げ、粘膜をスネアの先端で切開して状態を整え、再度生理食塩水を注入して全体を持ち上げてスネアをかけます。あとは、スネアを締めて高周波電流で焼き切り、創部をクリップで閉鎖する処置を行います。サイズが大きいポリープをできるだけ遺残なく安全に一括切除できる手法です。
切除後の注意点
制限内容は、長距離移動、運動、入浴、食事などがあり、期間には個人差がありますが数日から1週間程度です。
検査日のスケジュールを決める際には、検査時にポリープの切除を行う可能性を考慮する必要があります。切除した場合には長距離移動を1週間程度控える必要がありますので、その間に旅行や出張などのないことを確かめて検査日を決めてください。
ご帰宅後
当日、ご帰宅したら安静を保ち、早めに就寝してください。
入浴
当日は、シャワーのみ可能です。入浴は翌日より可能になります。ただし、長湯は血行を促進して出血リスクを高めますので、しばらく控えてください。
食事
当日は、油分の多いもの、刺激が強い香辛料を避け、消化しやすいものを食べるようにしてください。
飲酒
術後検診で医師の許可が出るまで、禁酒を守ってください。
運動
腹圧がかかる運動は1週間程度控えます。ほとんどの運動は腹圧がかかります。また、個人差や運動の内容などによって制限の期間は変わりますので、必ず医師に相談して再開するようにしてください。
旅行・出張
長時間、座ったままで移動するだけで腹部には大きな負担がかかります。術後1週間は長距離移動を控えてください。また、飛行機は気圧が大きく変化するため、短時間の搭乗でも出血リスクになります。また、遠方に移動した場合、万が一の場合に適切な処置が遅れる可能性もあります。1週間程度は、旅行や出張を控えてください。