皮膚科

当院の皮膚科診療について

皮膚疾患には原因不明というものが多く、根治に導く治療法が確立されていないことも珍しくありません。皮膚科では症状の速やかな改善と、良好な状態を長く保つことを目的に行う治療がほとんどを占めます。また、皮膚の状態は湿度や日光の影響を大きく受けますので、状態の安定と再発の予防には適切なスキンケアも重要です。当院では、患者様としっかり相談しながら適切な治療方針をたて、不快な症状の解消からスキンケア方法の指導まで総合的にサポートしていきます。皮膚トラブルのお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

皮膚トラブル予防のために

皮膚は環境や食事をはじめとした生活習慣の影響を大きく受けます。乾燥、紫外線、ストレス、脂肪や糖分の過剰摂取は特にトラブルにつながりやすいため注意が必要です。皮膚トラブルからの回復や再発予防には健康的な生活と正しいスキンケアが大きく役立ちます。特に皮膚の保湿は皮膚を保護するバリア機能を正常に保つために不可欠です。皮膚の水分は温度・湿度・汗などの要因によって大きく左右されますので、季節を先取りしたスキンケアを行って環境の変化に対応できるようにしておくことが重要です。当院では、無理せずに行える生活習慣改善のアドバイスや、季節や環境に合わせたスキンケアの丁寧な指導を行っています。

よくある症状

  • かゆみ
  • 腫れ
  • 赤み
  • ブツブツ
  • 水ぶくれ
  • かさつき

よくある疾患

  • にきび
  • 虫刺され
  • ほくろ
  • いぼ
  • ヘルペス
  • 円形脱毛症
  • 水虫(白癬)
  • 皮膚腫瘍
  • 巻き爪
  • 火傷
  • 外傷

代表的な皮膚科疾患について

皮膚炎(湿疹)

かゆみ、腫れ、赤み、ブツブツ、水ぶくれ、かさつき、痛み、斑点、膿、硬化などの症状を起こす皮膚の炎症の総称です。

原因不明の皮膚炎(湿疹)

皮膚炎は、様々な刺激で生じます。強く掻く・擦るといった物理的刺激、化学物質や薬剤、紫外線、低温、飲食物、虫や動植物など原因は多岐に渡ります。また、複合的な刺激や体調などの影響も受けるため、問診、視診、血液検査、アレルギー検査、パッチテストなどを行っても、はっきりとした原因がわからないことも珍しくありません。原因がわからない場合も、症状を改善に導く治療を行い、良い状態をキープするケアを続けることが重要です。

あせも

汗腺が大量の汗などで詰まることで、皮膚の浅い部分に汗が漏れてかゆみや発疹を起こします。白くて小さい水晶様汗疹、赤い丘疹でかゆみや痛みを生じる紅色汗疹、皮膚が盛り上がって汗をかかなくなる深在性汗疹に分けられます。乳幼児に多いあせもですが、成人も発熱や高温環境などによって生じます。また、更年期の女性はホットフラッシュによってあせもができることもあります。
水晶様汗疹はかゆみなどの症状を起こすことはほとんどなく、汗をこまめに拭く、シャワーや入浴を毎日行うことで改善できます。紅色汗疹はステロイド外用薬による治療で短期間での解消が多くなっています。なお、細菌感染を起こしている場合には、抗生物質による治療が有効です。

異汗性湿疹(汗疱状湿疹)

手のひらや足の裏にできることが多い湿疹で、痛みとかゆみを生じます。細かい水疱を多発して皮膚が剥離するという状態を繰り返します。水虫に似ているため、鑑別には顕微鏡による検査が不可欠です。手足に汗をかきやすい方、アトピー性皮膚炎や金属アレルギーのある方は慢性化しやすく、水虫を併発する場合もあります。水疱は感染を起こしやすい状態ですので、早めに受診して適切な治療を受けることをお勧めします。

脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)

頭や顔など皮脂腺の多い場所に生じる湿疹で、黄色っぽい湿ったフケ、うろこ状の乾いたフケ、かさつき、赤み、かさぶたなどができます。常在菌のマラセチア菌(真菌)が主な原因であり、食事やストレスなどの影響で発症することもあるとされています。
マラセチア菌が原因の場合は、抗真菌剤などの外用剤による治療を行います。ただし、炎症が強い場合にはステロイド外用薬によって最初に炎症を鎮めることが有効です。刺激によって悪化することがありますので、治療中はできるだけ刺激を避けることが重要です。しっかり治るまで数週間かかることもありますが、地道に治療を続けましょう。

自家感作性湿疹(じかかんさせいしっしん)

かゆみが強く局所的な湿疹が広がっていく皮膚炎です。かぶれや火傷などにより生じることもあります。治療が遅れると湿疹が広い範囲に現れるようになり、全身に広がると治りにくくなってしまいますので、湿疹が広がってきたと感じたらできるだけ早く受診してください。ステロイド外用薬や抗アレルギー剤、少量のステロイド剤の内服など状態に合わせた治療が必要です。

接触性皮膚炎(せっしょくせいひふえん)

様々な原因によって皮膚がかぶれている状態です。問診で原因がわかる場合もありますが、原因がわからないことも珍しくありません。症状を改善し、正しいスキンケアで皮膚のバリア機能を向上させて再発防止につなげます。

蕁麻疹(じんましん)

赤いふくらみが突然でき、しばらく経つと跡形もなく消えてしまうという疾患です。強いかゆみを伴うことが多いのですが、チクチクする軽い痛みとして感じられることもあります。毎日のように蕁麻疹が現れる場合や、物理的な刺激、アレルゲン、感染症や甲状腺疾患などによって生じることもあります。
激しいかゆみや次々に蕁麻疹ができるといった症状がある場合には、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服などの治療を行います。またアレルギーが疑われる場合には、原因を特定するための検査を行います。原因となるアレルゲンが特定できた場合には、できるだけアレルゲンに触れない生活を心がけてください。

にきび

皮脂や角質などによって毛穴が塞がってしまった状態で、中で炎症を起こして腫れや膿を生じることもあります。皮脂分泌が盛んな思春期だけでなく、成人後にもホルモンバランスの乱れなどによって繰り返しできることもあります。毛穴が塞がった白にきび・黒にきび、炎症を起こしている赤にきびがあり、赤にきびは色素沈着や陥没が残りやすいため早めに受診することをお勧めしています。
にきびの治療は保険適用されますが、肌の状態やターンオーバーを整えることで回復を早めて再発を防ぐ自費治療も可能です。食事やストレス、紫外線、便秘、化粧品なども発症に大きく関与するため、再発を繰り返す場合には生活習慣などの見直しも重要になります。

皮膚感染症

とびひ(伝染性膿痂疹)

飛び火するように広がりやすいことで、この名前がついています。軽い外傷が黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などに感染して発症します。強いかゆみがあり、掻いてしまうと周囲に感染が広がってしまいます。
原因は細菌感染ですので抗生物質による治療が効果的です。しかし、近年は薬剤耐性菌が現れているため数日しても症状が改善しない場合には異なる抗生物質による治療が必要です。また、治療中でも感染が広がる場合があります。入浴はシャワーだけにして、すぐに薬をつけ、感染部位をしっかり覆うようにするなどの注意が必要です。

水虫

白癬菌という真菌(カビ)が感染して生じる疾患です。主に足指の間やかかとなどに激しいかゆみを伴う炎症を起こしますが、全身のどの場所にも生じる可能性があります。感染を広げないよう早めに受診して、しっかり治すことが重要です。急性期には激しいかゆみを起こしますが、慢性化するとかゆみが治まるため、治ったと誤解してしまうと感染が広がってしまう可能性があります。爪や手、頭、陰部、顔などに発症することもあります。
治療は基本的に外用薬を用いますが、爪水虫など難治性の場合には内服薬を処方することもあります。また、他の疾患の治療でステロイドを使用して異型白癬になった場合には、ステロイドの中止が必要になりますので、他の疾患の治療を含めた検討が必要になります。

ウイルス感染

いぼ(尋常性疣贅)

ヒトパピローマウイルスが皮膚の小さな傷より感染して発症します。足裏にできた場合は圧迫によって扁平になることもあります。感染性の疾患ですので、周囲にうつったり繰り返し様々な場所にできたりすることがあります。触れないで早めに受診してください。

水いぼ(伝染性軟属腫)

ポックスウイルスに感染して白く目立たない小さないぼができます。強いかゆみを生じたり、広範囲に広がったりした場合には、できるだけ早く受診してください。子どもの水いぼは半年から数年で自然治癒しますが、その間の水泳を禁止している園や学校がありますのでご確認ください。

帯状疱疹

小さな水疱が帯状に生じ、違和感や強い痛みを起こす疾患です。子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが神経節に潜伏し、成人後に免疫力が低下すると活性化して帯状疱疹を発症します。発症の要因になるのは、疲労やストレス、疾患などです。身体の片側に症状が現れることが多く、発症当初はそれほど強い症状を起こさない場合もあります。ただし、水疱が治っても強い痛みが何年も続く帯状疱疹後神経痛を起こすことがあります。帯状疱疹後神経痛の予防には水ぼうそうワクチン接種が有効となります。50歳以上で水ぼうそうにかかったことがある方は、接種をお勧めしています。

単純ヘルペス

単純ヘルペスウイルス感染によって小さい水疱の集まりができて潰瘍化し、自然治癒します。口内、口唇、まぶた、指、性器などにでき、最も多いのは口唇ヘルペスです。繰り返し発症することが多く、水疱が出る数日前にピリピリする予兆を感じるケースもあります。早めに治療を受けると症状の悪化を防ぐことができます。なお、性器ヘルペスは女性がはじめて発症した際にかなり強い痛みを起こすことがあり、歩行に支障が生じる場合がありますが、2回目からは強い症状が現れることはほとんどありません。抗ウイルス薬の外用剤や内服薬による治療を行い、繰り返しヘルペスを発症する場合には内服薬による抑制療法を検討します。なお、単純ヘルペスは接触感染しますので、治るまではタオルの共有などをしないよう気をつけてください。また出産時に女性が性器ヘルペスを発症していると新生児に深刻な症状を起こす可能性があります。妊娠している時期に家族がヘルペスを発症した場合には、抗体の有無を調べておきましょう。

非感染性

老人性いぼ(脂漏性角化症)

加齢性の良性腫瘍で、長年積み重なってきた紫外線による老化が主な原因とされています。液体窒素冷凍凝固療法による治療が一般的ですが、スピーディで確実なCO2レーザーによる除去も可能です。

ほくろ

良性の母斑細胞性母斑や色素性母斑がほとんどを占めますが。まれにメラノーマという悪性黒色腫である可能性があるため、当院ではしっかり検査して治療法を提案しています。なお、メラノーマが疑われる場合には、連携している高度医療機関をご紹介して、速やかに適切な治療を受けていただけるようにしています。

虫刺され

刺されてすぐに張れや赤みを起こすことも多いのですが、翌日に腫れやかゆみの症状を起こす場合もあります。特に乳幼児ではある程度時間が経過して強い腫れ、かゆみ、水疱などを生じることがあります。症状が強いと色素沈着やしこりなどを残したり、細菌感染を起こしたりといった悪化リスクが高くなります。不快な症状を早く抑え、ダメージを残さないためにも、炎症が強い場合には早めに受診してください。当院では状態にきめ細かく合わせた治療を行っており、効果的に炎症を鎮める短期間のステロイド使用やかゆみを抑制する内服薬の処方なども行っています。

火傷

範囲が広い場合だけでなく、深部にまでダメージが及んでいる場合は速やかな高度医療機関の受診が必要です。範囲が狭く軽い火傷の場合は水道水の流水を当てて30分以上冷やすことが有効ですが、細菌感染を起こしやすいため医療機関を受診して適切な処置を受けることをお勧めします。
冷やしても赤みがある、ヒリヒリする、小さな水ぶくれができたといった場合には、当院にご相談ください。なお、市販薬などを自己判断で塗ってしまうと、治療の前に薬をきれいに取り除く必要が生じてしまいます。冷やす以外のことはせずに受診してください。

巻き爪・陥入爪

足の爪の横の部分が皮膚に深く食い込んだ状態が巻き爪です。深く食い込むと歩行によって激しく痛むことがあります。また軽い痛みでも無意識に姿勢が乱れ、膝や腰に強い負担をかけて関節疾患の原因になることもありますので、早めの受診をお勧めします。陥入爪は、爪の切り残しなどが皮膚に刺さって炎症を起こしている状態で、化膿すると激しい痛みを起こします。化膿している場合は切開して排膿する必要がありますが、適切な処置で痛みも速やかに解消します。

円形脱毛症

ある日突然、円形の脱毛を発症します。自然に治るケース、脱毛部分が拡大するケース、再発するケースがあります。自己免疫反応によって脱毛が生じていると指摘されていますが、なぜこうした反応が起こるのかはまだはっきりとわかっていません。発症に甲状腺疾患などが関与している可能性がありますので、血液検査なども必要になります。放置してしまうと治りにくくなることがありますので、円形の脱毛に気づいたら早めに受診してください。

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